皆さま、こんにちは。
外国の人たちとのコミュニケーションでは、日本ではなかなかできないような体験をすることがたくさんあります。
僕が6ヶ月住んだアリススプリングスは、先住民アボリジナルの人が多く住む町。西洋文化とは異なる、伝統的な文化をずっと守り続けてきた人ですから、彼らと接すると余計に変わった経験をすることがあります。
アボリジナルアートの中心地としても知られるこの町で、たくさんのアートを購入したのですが、アボリジナルの方から直接購入した作品は、どれも思い出があります。良くも悪くも…。
今回は、町で出会ったおばあちゃんから買った、一枚の絵にまつわるエピソードをご紹介します。
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序章:いい絵を見つけた
アリススプリングスにはアボリジナルアートのギャラリーが多くあるのですが、僕がよく行っていたirantiというギャラリーでは、小さいサイズの絵をセール価格で販売するコーナーがありました。
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アボリジナルアートというと何十万円、何百万円とするイメージをお持ちの方も多いかと思います。実際に大きな作品はそのくらい、あるいはそれ以上の価格がついているものも多いのですが、小さいサイズのものは気軽に買える価格の作品も多くあります。
そんなセールコーナーで見つけて、なかなかいいなと思った絵がありました。パステルカラーでとても可愛らしく、部屋が明るくなりそうな作品でした。
とても可愛らしい色合い。恐らく「女性の儀式」をテーマにした作品かと思います。
サイズは42×16センチほどと小さいですが、なかなか良い作品。
かなり小さい作品だったので、値段も20ドルほどと非常にお手頃。いずれ買おうと思いつつ、保留にしていました。
おばあちゃんとの出会い
そんなある日、よく行く近所のスーパーで、一人のアボリジナルのおばあちゃんに声をかけられました。この町では路上で絵を売っている人をよく見かけるのですが、直接声をかけてくる人も多いのです。
見ると、セールコーナーで見たあの絵を持っているではありませんか。まさか、このおばあちゃんがあの絵の作者なのだろうか?
「50ドルで買ってくれないか」というおばあちゃん。うーん、ギャラリーでは20ドルで見ているし、サイズも小さいし…と渋っていると、
「40ドル…いや30ドル!」
とあっさりと大幅値下げ。これはアボリジナルの方からアートを買うときにはけっこうあることです。
それでもまだギャラリーより高いのですが、作者本人から買えるなら思い出にもなるし、そっちのほうが良いのかもしれない。
「これ、おばあちゃんが描いたの?」と聞いてみると、「そうじゃ。」と仰る。
じゃあ30ドルで買いましょうと、お金を渡すと、
「もう5ドル…なんとかならんか…」とおばあちゃん。これもよくあることです。
しかし残念ながら僕の財布には5ドル札がなく、間を取って+3ドルコインで購入。
おばあちゃんは色違いの作品を3枚持っていたので、その中でも一番明るい色の物を選びました。
エアーズロックから来た
ギャラリーでアートを買うと、その作品のタイトルや意味、作者名、作者の写真、制作年が書かれた証明書をつけてくれるのですが、直接買う場合はそれがありません。
そこで僕は、直接アボリジナルの方から買うときは必ず裏面にサインと、可能ならタイトルや作品の意味などを書いてもらうようにしています。
この時もペンを渡してサインを書いてもらうと、
「わしはな、エアーズロックから来たんじゃ!」
と言って、名前の下に
「of AIR」
と書いてくれました。
ばあちゃんの名前は一応伏せます。
よくよく考えるとエアーズロックの綴りはAYERS ROCKなのですが、この時は深く気にも留めず。。
購入した後も、せっかくなので色々話を聞いてみたかったんですが、一仕事終えたおばあちゃんは早くも次の買い手を探して歩き出す。手に持った残り2枚を早く売りたくてしょうがないといった雰囲気。あの切り替えの早さはあっぱれです。
おばあちゃんの正体
後日、例のギャラリーのセールコーナーを覗くと、あの絵と全く同じものがまだ残っていました。
顔見知りの店員さんに、「これと同じ絵を、この前おばあちゃんから買ったんだけど…」と話してみると、
「あぁ、あのスーパーで売ってるばあちゃんだろ?あれ、うちで売ってた絵だよ!」
まさかの転売!アボリジナルの人たちが転売するというイメージがなかったのですが、さすがは厳しい自然環境を生き抜いてきた民族。僕の予想なんかよりもはるかに(商魂)逞しい人たちなのでした。
「お前、一本取られたなー。今頃あのばあちゃん、ワインでも買ってるところじゃない?」
と、ゲラゲラ笑う店員さん。たしかに最初の50ドルという値段も頷けます。上手く50ドルで売れたらもうちょっといいワインを飲めたのに、ばあちゃんすまんね。
本当の作者は
おばあちゃん転売ヤーから買ったあの絵、本当の作者はローズマリー・バード・ペチャラという人で、アボリジナルアート界でもけっこう名の知れたアーティストさんでした。
ちなみにサインに書かれたエアーズロックからは700km近く離れたところで暮らしている方のようです。
裏に全く関係のないおばあちゃんのサイン of AIRが入ったローズマリーの作品、ということになりましたが、10ドルちょっとの追加料金で印象に残る経験をできたと思っています。
おばあちゃん、残りの2枚は無事売れたかな?
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